PASTEL RECORDS

「好奇心とやすらぎの音楽」というキーワードで、エレクトロニカ、フォーク、アコーステックを中心に世界のインディペンデント・ミュージックを紹介しております。

Federico Durand「Jardín de invierno」〜日々の生活での機微に触れる中で美しくつながった、静謐な作品

   

a1270955778_10
アルゼンチンの音楽家Federico Durand(フェデリコ・デュランド)の最新作「Jardín de invierno」を聞いていると、ミニマルというのは、やみくもに、何かをどんどん減らしてゆくものではなく、必要不可欠なものが何なのかを、きちんと考えることなんだと改めさせてくれる。

12kよりリリースされた前作「A Través Del Espejo」からわずか数ヶ月の間隔で届けられた、2016年リリースの2枚目となる作品は、彼のファーストアルバムをリリースしている、spekkより。彼が自然豊かな場所へ引越しした後、新しい環境での中で作り上げた、スペイン語で"冬のガーデン"と名付けられた作品。これまでの数ある作品の中でも、最も最小限のサウンドで録音されながらも、彼が新しい環境の中で、見て感じた景色の思いそのままをサウンドとして聴かせてくれているような、静謐な作品となりました。

フェデリコさんのブログで、わずかな録音機材が置かれた、写真がアップされていているのですが、そこには、機材の向こう側に、緑豊かな庭(?)が見え、見るからに美しく気持ちのいい自然に囲まれた環境なのが伺えます。他にも幾つか窓から見える景色が写された写真も。

http://federicodurand.blogspot.jp/2016/08/recording-placehome-in-la-cumbre.html

http://federicodurand.blogspot.jp/2016/08/recording-placehome-in-la-cumbre.html

日々の生活での機微に触れる中で美しくつながった「Jardín de invierno」。カセット、オルゴール、シンセを言葉代わりに、季節の移ろいや、光や風の何気無い偶然の機微をサウンドにしたためてゆく。全ての楽曲にはその情景を表す曲名がつけられていて、曲名からFederico Durandが何を見、体感したのかその温度までも伝わってくるような、繊細でナイーヴな感性が音像となり、それが柔らかな音のベールに包まれるように、聴き手にも伝わってくる。これまで以上に音数を排した、シンプルで何かを主張するわけでもないアンビエント作なんですが、この作品を聴いていると、普段自分達が感じている、様々な季節の情景とも共鳴し、想像でき、時に没入し、そして彼の優しい人柄をも受け取ることができ、それがとても…癒される。

マスタリングを担当したフェデリコさんとも共演している、畠山地平さんは、”ある意味、ここに音は鳴っているのだけど、鳴っていないというか、この CD の中に入っていない音も想像して楽しめる傑作だ。”とコメントを寄せているように、鳴らされるべき音というものの密度が、音の背景や作り手の思いまでたくさん伝えてくれていて、あえて多くの装飾を飾りつける必要がないのです。あえて、録音後のミックスなど手を付けずに、録音時のその瞬間瞬間を閉じ込めたところにも、彼のこだわりを強く感じるし、語らずとも通じる何かがこの作品に潜んでいて、聴いたひとそれぞれの意識の在り方が生み出す情景を楽しむことができる作品です。

この作品を聴いていてふと共通の作品を思い浮かべたのが、日本でのツアーの際に共演経験のある、hofliの「木漏れ日の消息」だったのですが、くしくもリリース時期も同じだし、音数が少なくなっていることも似ているなぁ〜となんだかふしきな気持ちになったりも。この作品を聞いて気に入った方は、ぜひhofli「木漏れ日の消息」も併せて聴いてみることをお勧めいたします。

1. Lilium ユリ
2. Florilegio お花のイラスト集
3. Figuritas de jade 小さなヒスイの形
4. Mariposas nocturnas 蛾
5. Jardín de invierno 冬のガーデン
6. Copos de nieve 雪の結晶
7. Canción de las gacelas ガゼラの歌
8. Azahar オレンジの木の花
9. Un gran bosque rodea el monoblock モノブロックを囲む大きな森の音
10. Ver a través del follaje 葉の向こうを透かして
11. Tarde de lluvia 午後の雨
12. Las sierras se disuelven entre las nubes 山脈が雲に溶けてゆく

パッケージもspekkならではの体裁なんですが、アルゼンチンの人気イラストレーターCecilia Afonso Estevesによる、わざと日焼けした方眼紙が映し出すノスタルジーと、暗号のようなミニマルで可愛らしいアートワークとのバランスが、絶妙に、この作品の世界観を表している。アーティスト本人の作品説明も、スペイン語、英語、日本語で掲載されています。

20160925_164024

20160925_164107

20160925_164122

20160925_164131

20160925_164146








 - REVIEW, ストア情報 , , , , ,