hofli「木漏れ日の消息」〜音と音との距離感が持つ関係性が、シンプルな音の響きの中に収められたどこか詩的な作品

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

津田貴司によるプロジェクト、hofliの最新作「木漏れ日の消息」がリリースされました。

作品を送ってもらう前に、前作「十二ヶ月のフラジャイル」よりも、”今回は音数が少なく、簡素で静謐なアルバムになったと思います…”と本人から聞かされていたので、実際に音源を聴くのが楽しみだったのですが、沖縄でのフィールドレコーディングを含む、この作品から聞こえてくる、何を用いて鳴らされているのか皆目見当のつかない、不思議な言霊のような響きは、確かに、彼の言うところの「響きと聴こえ」という、誰もが投影したくなるような、ある一定のメロディーに依存するものではない、自然の営みの中から伝わってくる、ざわめきだったり、気候の変化だったり、人工的に響く誰もが耳にする音だったりが息づき、音と音との距離感の持つ関係性が、シンプルな音の響きの中に収められている、どこか詩的な作品です。

鳴らされる音のひとつひとつが、偶然のものとも綿密に築き上げたものとも決めがたい、人と多様な環境との相互関係の交わりの中からすくいだされたようにも聞こえてくる「木漏れ日の消息」。ここで聞こえてくる音の数は驚くほど少ないかもしれませんが、その音の背景には様々な営みが存在していて、それらすべてが一気に聞こえてくるのではなくて、数少ない音から、聴く人それぞれのインプット〜アウトプットにより、それぞれ異なる聴こえ方、感じ方になるかもしれません。

前述で、詩的な…という表現をしていますが、そうふと感じたのが、時々現れる気象情報のアナウンスがどこか詩の朗読のように聞こえたのがきっかけかもしれません。また、実際に、ブックレットには、幾つかの詩も収めれています。また、今回もdrop aroundによるパッケージで「水の記憶」「雑木林と流星群」と同タイプのものを採用。

01 南へ!
02 ある測候所
03 星を結う人に
04 午後の魚
05 環礁
06 アズライト省察
07 夜の思想

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2016年09月13日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: , , , Comments Closed 

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