Vashti Bunyan – Lookaftering 〜「明治の森 箕面 音羽山荘」月一レコードセレクト(8月)

箕面にある、「音羽山荘」さんで聴きたいレコード企画。8月は「Vashti Bunyan / Lookaftering」を選んでみました。(これまでのセレクトはこちら

■ 明治の森箕面 音羽山荘
明治の森箕面国定公園の入り口すぐの場所、素晴らしい箕面の景観の中に佇む、風情溢れる老舗旅館。建物は大正時代に建てられた歴史ある邸宅を改築したもの。出張販売のイベントの時も、皆さん親切だっあなぁ〜。箕面大滝を訪れた方なら必ず目にしているはずです。

2021年8月のセレクト

■ アーティスト:Vashti Bunyan
■ タイトル:Lookaftering
■ レーベル:FatCat/Dicristina Stair
■ リリース年:2005年

酷暑続く8月。そして2021年に、2020年のオリンピックが開催の不思議な夏。喧騒から離れた森のなかで響く、Vashti Bunyanの歌声はどんな風を運んでくれるだろうか?「Lookaftering」は、英国人女性シンガー・ソングライター、ヴァシュティ・バニアンの2005年にリリースされた作品。1970年にリリースされた彼女の最初の作品『Just Another Diamond Day』から、なんと35年後にリリースされたのが、このセカンド・アルバムです。

ヴァシュティ・バニアンについて、知ってる人はよく知る話ですが、70年のリリース当時、『Just Another Diamond Day』は、メディアから酷評されることになります。失意の中、音楽シーンから姿を消していたヴァシュティ。やがて時は流れ、いつのまにか『Just Another Diamond Day』は、幻の作品として、マニアの間でブート盤が高値で取引されるという、作品の存在自体がおとぎ話のような、今のストリーミングの時代には信じられない状況になっていました(なんせ100枚ぐらいしかプレスされていなかったとか)。そんな作品が、21世紀に入りようやく日の目を見るわけですが、それと同時に、若い音楽家が彼女の作品を再評価する流れが生まれます。ピアノマジック、デヴェンドラ・バンハート、アニマル・コレクティブらが彼女とコラボレーションを熱望し、彼らの作品に参加するようになり、徐々に彼女の歌声が再び音楽シーンから聴こえてくるようになります。

そんな流れの中、ポスト・クラシカルのアーティストとして高い人気を誇るマックス・リヒターや、ジョアンナ・ニューサム、デヴェンドラ・バンハート 、アダム・ピアースといった、当時まさに旬なアーティストとの出会いと、前作「Just ~」を手掛けたロバート・カービー、そして、家族のバックアップ(ジャケットは娘のウインルイスが描いた作品)中で作られたのが、このセカンド作「Lookaftering」なのです。ファーストアルバム録音時は68年だったので、既に35年以上もの時が経っているにもかかわらず、まるで70年代から未来に舞い降りてきたような、無垢な歌にただただ、うっとりするばかり。もちろん現代的でクラシカルなオーケストラやグランド・ハープに穏やかなサイケデリアが散りばめられた繊細なアレンジは、過去の作品とはまた違うけれど、この作品だから聴ける母の子守唄のような優しさは、やはりたまらなく魅力的。タイトルは、「何かや誰かを大切にすること」と「過去を振り返ること」を意味する自作の言葉。酷暑だけでなく、殺伐とした気分もそっと和らげてくれるような作品ですよ。

A1. Lately
A2. Here Before
A3. Wayward
A4. Hidden
A5. Against The Sky
A6. Turning Backs
B1. If I Were
B2. Same But Different
B3. Brother
B4. Feet Of Clay
B5. Wayward Hum

レコードはPASTEL RECORDSストアで販売中です

PASTEL RECORDS STOREはこちら!


PASTEL RECORDS STOREは、「好奇心とやすらぎの音楽」というキーワードで、世界のインディペンデント・ミュージックより、美しく、個性的で、心がこもっていて、気取っていない、日々の生活の中でも、やわらかな刺激を与えてくれる心地よい音楽をセレクトしご紹介しております。
関連記事