Masayoshi Fujita『Book Of Life』(Erased Tapes)
ヴォブラフォンが持つ魅力を追求した三部作、「Stories」「Apologues」に続く3作目
Masayoshi Fujitaの最新作「Book Of Life」の音源を、レコ屋特権で発売前に音源を聴かせてもらってから、ほぼ毎日聴きまくっている。毎日忙しい合間にも、ふと日常の煩わしさを忘れさせてくれるし、休日の、のんびりとした朝や夕暮れにも、彼のビブラフォンは、心の優雅さを与えてくれる。
「Book Of Life」は、2012年にFlauからリリースされた「Stories」、そしてErased Tapesから2015年にリリースされた「Apologues」に続く作品。チェロ/ヴァイオリン/フルートなどの楽器に加え、1曲、Peter Broderick、ハチスノイト、David Allred、そしてNils Frahmの新作も参加していたコーラスグループShardsが参加。
僕はMasayoshi Fujitaの生み出す作品はどれも大好きだけど、最新リリース作が、いつも最高作なのは本当に嬉しいし、本作も、もう何度も聴き込んでいるけど、もちろん彼の最高作だと思っている。特に、この作品は、ヴィヴラフォンの可能性という面もそうだけど、それにつながる、楽曲と演奏者との有機的な結びつきを、なにより素晴らしく感じている。資料によると、動物や自然を表現したサウンドに対して人間的なサウンドを、即興的な楽曲に対して整然と作曲された楽曲など、相反するイメージやアプローチから制作されているとある。
過去の作品に比べ、演奏者やレコーディングエンジニア、レーベルスタッフそしてMasayoshi Fujitaの描く創造性が、「Book Of Life」の中で、質朴な倫理の中で保たれているような気がする。彼のヴィヴラフォンの立ち位置は、この作品の中でどこが中心で周縁なのか、というのは問題ではないのかもしれないし、かなり何度も試行錯誤を繰り返し、苦労し、たどり着いたバランス感覚なのかもしれない。
とは言え、ここで聴かれるヴィヴラフォンは、これまでのどの作品よりも、色艶が本当に素晴らしい。親密で浮遊する空間をたゆたうアンビエントな楽曲や、チェロ/ヴァイオリン/フルートを交えた、ミニマルから壮大なシンフォニーであっても、彼のヴィヴラフォンの、リズム/音色は、作品全体のロゴスとなって、ジャズでもクラシックでもない、彼しか生み出せない特有の美しさを導いている。
7月27日発売、ぜひ聴いてほしいな…あっ、訂正!PASTEL RECORDSで購入してほしいなぁ。CD・レコードもありますよ。CDは、日本流通盤のみボーナストラック”Candle”のダウンロード・コード付き。
01. Snowy Night Tale
02. Fog
03. It’s Magical
04. Old Automaton
05. Book of Life
06. Harp
07. Mountain Deer
08. Sadness
09. Misty Avalanche
10. Cloud of Light