Tomotsugu Nakamura「Literature」(laaps)

フランスのレーベル、IIKKIや、laapsを運営する、mathias van eeclooからの、laaps新作インフォで耳にした、Tomotsugu Nakamuraの作品「Literature」が本当に良かった。

次世代を担う新星として<邂逅 kaico>からリリースされた2013年のデビュー作「Slow Weather」も、実は、レーベルの方から音源を聴かせてもらったことがある。ギター、ピアノ、シンセなど多数の楽器を自ら演奏し、フィールドレコーディングを同時にプロセッシングする手法。自然音、グリッチがスケッチのように空間に点々と配置されるシンプルで暖かみのあるサウンド。

「Literature」もそうだけど、改めて、これまでリリースしてきた公開されている作品全てを聴いてみたのですが、彼の音楽スタイルの根本については、実はそんなに変化がない。ギターの音による、カットオフやプロセッシングの手法は、これまでの作品でも彼のスタイルとして使われているけれど、作品をリリースする中で、少しづつ、本来の綿密さが、紡ぎ出す音がメロディアスに流されず、素直な感情が音の間に表れているような気がする。

本作は、他の作品よりも直感的に、良い作品だなという佇まいがある。心地よいタイミングで繊細に重ね合わせられたギター、ピアノ、ベースによる、アコーステックな音、グリッチ、フォールドレコーディングの微細なノイズ、それらが効果的にレイヤーされ、一音一音の美しさが知的に繋がりあって生み出される空間。メロディアスになりすぎず、かといって無駄に緊張を強いるサウンドでもない。抽象的でもなく予定調和でもない、心地よいタイム感と、はかなさ、偶然性を捉えている。良い深みのある作品です。

01. Lilac
02. Scores On The Map
03. Stellar Burial
04. Copenhagen
05. Moscos
06. Alone together
07. Resolution
08. Sphere
09. Pastoral Song
10. Library

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