This Valley Of Old Mountains [ Federico Durand & Taylor Deupree ](12k)

少し紹介が遅れてしまいましたが(出たのが7月ですからねぇ…)、12kから、アルゼンチン在住のFederico Durandの新作「Alba」の余韻も覚めやらぬうちに、フェデリコが関わる素敵なコラボレーション作品がリリースされております。

12kレーベルを主宰するNY在住のTaylor Deupreeとのデュオ、This Valley Of Old Mountainsのコラボレーションアルバム。NYとアルゼンチン、半球を隔てた場所から、彼らが共通に持つ山へ魅力や、曖昧さ、反復に焦点を当てています。これまで共演はあったものの、意外となかった2人のコラボレーション。お互いに、電子音響、アンビエント、ドローンといったサウンドのくくりでは同じジャンルで紹介されるかもしれないけれど、片や、クリックやグリッチ、サイン波のドローンを分散的に配し、限りなく少数の音で空間を形成するマイクロスコピック”(微細)サウンドが特徴のTaylor Deupree、そして、フィールドレコーディング素材に、カセット、オルゴール、シンセ、おもちゃの楽器などを使い、人柄を伺わせる温かで淡い有機的な音響サウンドを聴かせてくれるFederico Durand。写真家でもあるテイラーと松尾芭蕉を敬愛するフェデリコ、2人のバックグラウンドの違いは、じっくり聴くとサウンドに表れていて、まるで写真家と詩人が、音でコラボレーションしたような作品に思えてくる。

ミニマルだけどそのサウンドが広がると、一気に、記憶の中に眠る、いつか見た自然の風景が広がる。クレジット的には、2019年の7月から2020年の4月頃までの録音となっているので、おそらくアルバムに収録の楽曲は、時系列に並べられているのかな?と、聴いた感じではそんな雰囲気にも感じれた。彼らのサウンドは、時に、雪の結晶のような神秘性だったり、フィールドレコーディングを配し、奥行きある空間を生み出していたりと、その時々に感じた瞬間を、自分たちの手法でサウンドに閉じ込めたようでもあり、聞き手は、自分の中の経験と彼らのサウンドとが繋がることで、山域のこと、動植物などの自然、時間の流れなど、様々な情景が浮かび上がってくる…ような気がする。ただこの作品は、山の魅力であってもなくても、どの曲も穏やかで、ゆったりとしたサウンドがアルバム最後まで感じるまま接することのできる。とても貴重な作品だと思う。

01. Isu
02. Myr
03. Honii
04. Lef
05. Ida
06. Vist
07. Wintir
08. Polei
09. Yvy
10. Luriel
11. Ksi
12. Heid
13. Flykra

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