MIHO KAJIOKA / Observatories (Ian Hawgood & Craig Tattersall)「flowers bloom,butterflies come」(iikki books)
フランスのiikki bookからの新しいリリース「flowers bloom,butterflies come」は、岡山出身、京都在住の、写真家、アーティストの、かじおかみほ さんのアート作品と、Ian Hawgood、そしてCraig TattersallによるプロジェクトObservatoriesの音楽作品に組み合わせ。
iikkiについては、どの作品も注目すべき充実内容なのですが、今回もめちゃくちゃ良かった。イアンは、Home Normalのレーベルオーナーとして、クレイグは、昔、The Boatsでのインタビューで、お世話になったりと、馴染みある面々ではあるんですが、それ抜きでも、この作品は評価されるべきだし、実際、音楽とかじおかみほさんの写真、それぞれの世界がすごく寄り添いあっている。
iikki bookについてはこちらで
「写真は瞬間をとらえ、それを凍結させるものであり、それを作品にすることは、時間の感覚と戯れ、その時間軸に迷い込むようなもの」だという、かじおかさん(レーベルインフォより)。その感覚を見事に2人の音楽家は、まどろみのサウンドの中に映し出している。Craig Tattersallは、別プロジェクト、 The Humble Beeとして、またIan Hawgoodも、ここ最近、精力的にソロ作や、コラボ作品をリリースしていて、アコーステックや、古いシンセサイザー、テープマシンを使った、繊細でドローン〜アンビエントサウンドを聴かせてくれるのですが、本作はグッと静謐で、アコーステックの繊細な響きと、ループされたテクスチャー、それぞれが、夢のような静かなひとときを映し出している。
いつもながら、誰のアイデアなんだろう?と思うくらい、iikkiのアートと音楽のディレクションはセンスがある。今回の組み合わせも、個人的には絶妙だなと思う。かじおかさんの作品は、写真作品というよりは、まるでコラージュのような視点を感じる。淡い光と影の暖かな色合い、美しい余白、戻らない時間、記憶と繋がり浮かび上がる感性に触れているような。たとえば、馴染みの通りから、普段は通らない路地に迷い込んだ時に感じる、懐かしさと、新鮮さみたいな。
音楽だけでなく、写真作品とともに、「flowers bloom,butterflies come」を楽しんでほしいな。
梶岡美穂:サンフランシスコとカナダ、モントリオールで絵画と写真を学ぶ。帰国後は東京で報道の仕事に就き、東日本大震災を機にアート活動を再開。京都で作品を作り、スペイン、イタリア、フランス、オランダ、アメリカ、ドイツ、ベルギー、ポルトガル、イギリスで展示。最新作『so it goes』は、2019年10月に、年間を通してフランスで出版された写真集の中で最も優れた作品に贈られるナダール賞を受賞しています。
Ian Hawgood:イギリス生まれのIan Hawgoodは、大人になってからの人生のほとんどを日本、イタリア、ポーランドで過ごしました。現在はピースヘブン(南海岸、ブライトン近郊)を自宅としている。2009年からは、レーベル「Home Normal」のキュレーターを務めることでも知られる。彼はレーベルオーナーだけでなく音楽も制作しており、多くのレーベルやアーティストのために作品のマスタリングも行っている。
Craig Tattersall :リモート・ビューアーの元メンバーであり、バンドメイトのAndrew JohnsonとはFamous Boyfriendでも作品をリリースしている。 また、The Boatsの創設メンバーとして日本でも知られていますが、近年ではThe Humble Beeという名義や、The Seaman And The Tattered Sailのビル・シーマンとのコラボレーションでも、その名前をよく見かけます。
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