Seabuckthorn『Turns』 (Lost Tribe Sound)

2018年頃から作品をリリースしている、英国のアコースティック・ギタリスト&マルチインストルメンタリスト、Andy Cartwright(アンディ・カートライト)のソロプロジェクト、Seabuckthorn

さまざまなオープンチューニングと組み合わせたフィンガーピッキングと、ボーイング(ヴァイオリンやチェロの弓でギターを奏でる特殊奏法)の手法を駆使し、アメリカン・プリミティブ、モダン・クラシック両面を行き来しながらの、浮遊感と、重厚で地を這うような音響的サウンドは、まるで映画のサウンドトラックのような佇まいです。

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以前は、ロンドン、パリ、ブリストルに住んでいたというAndy Cartwrightは、現在、より山岳風景からインスピレーションを得るため、フランスは、南アルプスに住んでいる。そんな自然の、緩やかでさと、表裏一体となった緊張感が、Seabuckthornの作品にも現れている。

牧歌的な緩やかさと表裏一体の、ダークで緊張感ある音響空間

2017年の本作『Turns』は、Gregory Euclide(Bon Iver、Lubomyr Melnyk)のアートワークの素晴らしさ同様、数多くのJohn Faheyフォロワーとは一線を画す、Seabuckthornを代表する作品といえます。『Turns』のサウンドは、明らかに、2015年の前作「They Haunted Most Thickly」でのジョンフェイフィ、レオコッケ、ロビーバショーを彷彿とさせるミニマルなギタープレイ中心の構成から、より漆黒の闇を映し出す、どこかダークで神秘的なドローンや、モダンクラシカルの方向性に移行している。そんなサウンドに一役買っているのが、本作と同じ、Lost Tribe Soundから作品をリリースしている、William Ryan Fritchの存在も大きいでしょう。

まるでシンフォニーのように奏でられるギターの繊細なきらびやかさや、パーカッションの重厚な響き、またこれまで同様の、シンプルなギタープレイもありながら、アコースティック中心による素晴らしい演奏に裏打ちされた、ダイナミクスと荘厳な雰囲気を見事に調和させた音響空間を生み出している。映像的な広がりを生む、起伏のアレンジと、感傷的な陶酔感は、これまでの作品にない魅力を持っています。

01. Long Voyages Often Lose Themselves
02. Of Disappearance
03. Occurring Water
04. The Trail Already In My Mind
05. Dizzying Mountains
06. Lanterns
07. Plateau Edge
08. Near Translucent
09. Concerning Otherness
10. Turns

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