Masayoshi Fujita & Jan Jelinek「Schaum」(Faitiche)

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混沌とまどろんだムードに満ちたエキゾチックサウンド

ベルリン在住の日本人ヴィブラフォン奏者El FogことMasayoshi Fujitaと、同じくベルリン在住で、90年代末から”Farben” 名義での活動を始め、長らくエレクトロニックミュージックの世界で独自のオリジナリティーを提示し続けているJan Jelinek、2人のコラボレーション作第2弾となる『Schaum』が、Jan Jelinek自身のレーベルFaiticheよりリリースされました。

Masayoshi Fujitaの、El Fogにしても、Jan Jelinekにしても、イメージカラーはモノクロで、サウンドの質感は、繊細でストイック…みたいな勝手なイメージを持ってしまうのですが、2010年にリリースされた前作『Bird, Lake, Objects』をリリースして以降、Masayoshi Fujitaは、ヴィブラフォンの演奏を中心とした、本人名義での活動に重点を置き、よりヴィブラフォンの持つ可能性を模索しながら素晴らしい作品を、flau、Erased Tapesからリリースし、Jan Jelinekは、エレクトロニック・ミュージックという枠に囚われないスタンスで、ジャズ〜ミニマル〜ハウス~クラウトロック〜電子音楽〜エクスペリメンタルの要素を織り込んだ作品毎ごとに異なった作品をリリースしている中で、本作『Schaum』では、2人のインプロゼーションが生み出す、一瞬の偶然が含まれた、現在進行形の彼らのバックグラウンドが鮮やかに反映されたものとなっています。

2010年の『Bird, Lake, Objects』以来となる本作ですが、『Schaum』リリースまでも、ライヴでの共演や、2013年にFaiticheからの12″「Do You Know Otahiti?」をリリースしており、新作でも何か意図したテーマに沿ったコラボレーションというよりは、2人のインプロゼーションが生み出す、一瞬の偶然が含まれた、現在進行形の彼らのバックグラウンドが鮮やかに反映されたものとなっています。

Jan Jelinekは小規模なエレクトロニック・デバイスを使ったシンセやサンプルループのレイヤーを用い、彼自身の「熱帯地方」への志向が反映された、エキゾチックさとスペイシーさを披露し、Masayoshi Fujita はヴィブラフォンの他、さまざまなパーカッションや金属、おもちゃなどを用い、これまでの作品にはない華やかさと、混沌とまどろんだムードに満ちたサウンドを聴かせてくれます。

時間と空間が異なる世界を独自の視点で表現する彼らの即興音楽。あえて音楽を聴かず、深く考えず、ただただこの作品に気持ちを沈め感じてみることをオススメいたします。

01. Cin
02. Helio
03. Arub
04. What you should know about me
05. Vague, yet
06. Botuto
07. LesLang
08. Parades

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