Taylor Deupree + Marcus Fischer「Twine」〜結ばれたテープループが生み出すデリケートで美しいサウンドスケープ

今月11月に来日する、Taylor DupreeとMarcus Fischerの共作アルバムが、12kよりリリースされました。この２人によるコラボ作品は、2011年にリリースされた、「In A Place Of Such Graceful Shapes」以来２度目となります。

２つのモノラルのテープループと電子ピアノ、ベル、弦楽器という限られた音源を使用して制作されたもので、アルバムジャケットや、タイトルの「Twine（より糸、もしくは麻糸）」からも想像出来る通り、２つのテープループが、オープンリールのマシン内蔵スピーカーからアウトプットされたものを、録音している。レコーディングの手法は特別な技術を用いて…というわけではなく、ごくごくシンプル。だけど、それがこの作品のヴィンテージな温もりだったり、彼らの感性がより直接的に反映されているような気がする。

あと印象的だったのが、マイク録音ならではの、人為的でない偶発的に発生した、様々なノイズが鮮明に聞き取れて、それが彼らの主となる音の創出空間の中で、なくてはならない静寂を生み出していること。テープからのものだったり、弦が指に触れる際のものだったり、何かが軋む音だったり…確かにそれらはノイズではあるんですが、静寂がなければ聞こえてこない微細なものなので、それらノイズを感じることによって、より穏やかで静寂な空間をイメージすることになる。

テープスピードのズレが生み出すノスタルジックな雰囲気や、彼らならではの淡くぼんやりと包み込むミニマルな音響空間は、時間というものを無にし、聴くものに様々なイメージを想像させてくれます。Taylor DupreeとMarcus Fischerの来日ももうすぐ。彼らの創造的なインタラクションをぜひお聴き逃しなく！