Sebastian Macchi「Piano solito」(Bar Buenos Aires / Shagrada Medra)

大地の声に耳をすませ、たおやかな記憶とともに奏でられる優しさと愁いのピアノ

モダン・フォルクローレを代表する作品『LUZ DE AGUA』でもお馴染み、Sebastian Macchi(セバスティアン・マッキ)のソロアルバムが、カルロス・アギーレ主宰のレーベルShagrada Medra(国内は、Bar Buenos Airesのリリース)よりリリースされました。

Sebastian Macchiは、フェルナンド・シルヴァ/クラウディオ・ボルサーニとの連名で発表したモダン・フォルクローレを代表する作品『LUZ DE AGUA』を始め、ルカス・ニコティアンとのピアノ・デュオ等でも知られ、ネオ・フォルクローレ界の実力派シンガーCECILIA PAHL(セシリア・パール)の作品や、パーカッション奏者MARIO GUSSO(マリオ・グッソ)のソロ作にも参加している、ピアニストであり作曲家です。

そんなキャリアがありながらも意外とソロ作はこれが初めて。失われつつある故郷パラナーの自然を思い、大地の声に耳をすませながら作られたこのピアノソロ作は、彼の繊細な感性とともにパーソナルな思いが溢れ出た作品となっています。

アルゼンチンのモダン・フォルクローレとして紹介されている音楽家の作品を聴くにつれ、ふと思うのが、住んでいる故郷への愛着が、音楽からストレートに伝わってくること。その土地の持っているインスピレーションを受けたり、生まれ育った愛着なんかが、奏でられるメロディーに自然と染み込んでいる。本作のライナーにも本人のコメントが掲載されているんですが、”大地の声”や、”大気からの贈り物”、”年老いた木の、根、そう、根っこのような歌…”など、印象的な言葉が続く。そんなところから、きっと本人自身の、たおやかな記憶と導かれる何かが交わりあい、より自身の内面と向き合っているようなところも、この作品の奥深い魅力を生み出している要因かもしれません。

各収録曲それぞれ違った表情を聴かせてくれるのですが、クラシック〜ジャズが入り混じりながらも、芸術的な芳香をしのばせ細やかな心模様を、清く奏でるピアノがいつまでも心にすっと染み込むように入ってくる。まるで日本の童謡をジャズアレンジしたような軽やかに舞う淡い郷愁の心地よさを始め、日本人にも通じる、メロディアスで抒情的な側面もあって、こころ温まる余韻がアルバム最後まで続きます。

シンプルなピアノ作品だからこそ、Sebastian Macchiのピアノ演奏の素晴らしさや、楽曲アレンジの美しさ、そしてパーソナルな人柄もあわせて伝わる、何度聴いても味わい深い素晴らしい作品です。

Tracklist
01. Huella de arena
02. Alma matinal
03. Canten senores cantores
04. Camalote nocturno
05. Conforma de carta
06. El oro del mediodia
07. El arriero
08. Invierno
09. Verdad
10. Chaya de los vientos
11. 20 trajes verdes

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