øjeRum〜漆黒の闇の中で、ひっそりと鳴らされる、孤高だけど、どこか心惹かれるメロディー

2016-01-28-8.25.57

text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

 

知らない国の見知らぬだれか。そんな縁も所縁もないところから、なぜだか心惹かれる音楽が聴こえてくる…。

デンマークのPaw Grabowskiによるプロジェクト、øjeRumは、2007年から、リリース作全てカセットでリリース(一部CD−Rもありますが)しています。カセットリリースにこだわっている印象がありますが、カセットリリース独特のアナログ独特のぬくもりみたいなものと、ローファイなヒスノイズが混じり合った、øjeRumの生み出す、孤高なムードが、とても相性の良いものだからかもしれません。実際、øjeRumの音楽を一通り聞いてみて、カセットテープで聞いてみたらもう少し印象も変わるだろうな…と思いました。また、フィジカルなリリースと同時にsoundcloudでは、膨大な楽曲が定期的にアップされています。

 

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øjeRumの音楽は、ゆったりとギターやピアノをつま弾きループさせる。ただそれだけの曲もあるし、øjeRumのつぶやくような歌もある。時に弦楽器を用いたリチャードスケルトンような、荘厳さを醸し出すクラシカルなアンビエントもあるし、オルガンだけを用いたミニマルな作品もあり、言葉だけ並べると、なかなかな多様さを持っています。雰囲気的には、ビルキャラハンのsmogや、ここ最近では、英ドーセット在住のマルチ奏者Michael TannerのPlinthや、The Closterを思い浮かべたりしました。ジャケットのアートワークも含めた印象ほど、不思議と奇妙さや、ヒリヒリしたところもなく、漆黒の闇の中で、ひっそりと鳴らされる中、ただただそのメランコリックさに心惹かれてゆきます。

誰かに媚びるわけでもなく何かを訴えているわけでもなく。ただ彼の鳴らす音に、聴くものは耳を傾ける。なぜだかそこに美しさを感じるし、心地よさすら覚えます。

最新作は、「Syrenen Lukker Lysets Øjne Med Hele Sin Vægt」というA面B面それぞれ10分づつの作品。つま弾いたりコード掻き鳴らすギターの残響音だけなんですが、淡いムードを生み出す、ぼんやり聴き入る耽美なアンビエントなんですが、どれを聴いてもこのムードにハマる人はどの作品を聴いても、きっとぼんやりしてしまうことでしょうね。まず最初は、「there is a flaw in my iris」から聴いてみてください。
 

 

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2016年01月28日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: , Comments Closed 

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