Laura Jean「Laura Jean」(Chapter Music)~成熟した美しいアコーステックサウンドに、心模様まで表れた魅惑のうた

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

オーストラリアは、メルボルン在住の女性SSW、Laura Jeanの4枚目となる作品が、同じオーストラリアの老舗インディーレーベルChapter Musicよりリリースされた。2006年のデビュー作以降、コンスタントに作品を重ねていて、1、2作は、アコーステックギターの弾き語りをベースに、ストリングスや管楽器などを配し、幻想的な世界を宿したフォーク/ロックを聴かせてくれていて、どちらもおすすめなんですが、特にセカンドの「Eden Land」はぜひ聴いて頂きたいです。

そしてここからどのような展開になるか楽しみだったのですが、次の2011年にリリースされたサードアルバム「A fool who’ll 」では、アコーステックギターから、エレキギターに持ち替え、よりダイナミックさを打ち出した作風になり、個人的には大いにがっかりしたものでした。この時期オーストラリアの優秀なソングライターに贈られる賞、APRA Professional Development Awardを受賞し、賞金とレコーディング機材、ジャケットにも映っているギブソンのSGを手に入れ、さぞかし勢いがあったと思うんですが、実際楽曲的に良い内容のものが多かっただけに、サウンドへの繊細な配慮があればもう少し良い作品だったかな~と。なんか違うんですよね。ちょっと女性SSWの作った平均的なロック作品に終わってたのが残念でした。ジャケもなんだかね~。

そんなかんじでちょっとLaura Jeanへの興味もどこえやらのところにとどけられた、3年ぶりの4作目はタイトルも初心に帰り?セルフタイトルで、サウンドの方も完全に元のアコーステックに戻っていました。ただこの作品、これまでのインディー然とした佇まいから根本的に変わっていて、プロデュースに、PJ Harveyとのコラボレーションを始め、Giant Sand、M Ward、Sparklehorse、eelsなどなどアルバムにも参加するJohn Parishを迎え、英ブリストルでレコーディングされています。これが本当に大正解。

細やかな彼女の心模様まで現れた魅惑的な歌とメロディーは楽曲によってどことなく英国フォークを思わせる憂いを帯びたものだったり、それをまた引き出す、サウンド面からのサポートも素晴らしく、John Parishらしい、モダーン・ルーツ・ミュージックを背景とした成熟した美しいサウンドと、これまでのLaura Jeanの持つ世界観が見事に溶け合っている。歌にも色艶が帯びていて実に良く、本来持っている潜在的な良さが引き出されたかのような作品に。

参加演奏者は、ほぼ、Laura JeanとJohn Parishだけなんですが、ゲストにノルウェーの女性SSW、Jenny Hval(同じノルウェーのシンガーであるスサンナと今年リリースした「Meshes Of Voice 」は魔術的で凄みのある強烈な作品です!)が、ボーカルで5曲参加していて、Laura Jeanとの魅惑的なハーモニーを生み出しています。もう文句なしにベスト作とも入れる本作で、新たなスタート(本人はどう思ってるかわかりませんが…)を切ったLaura Jean。こりゃまだまだ彼女から目が離せませんね。

 

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■ アーティスト:Laura Jean
■ タイトル:Laura Jean
■ フォーマット:CD
■ レーベル:Chapter Music
■ 品番:CH118
■ ジャンル:フォーク
■ リリース年:2014年

<収録曲>
01. June
02. How Will I Know When I’m Home?
03. First Love Song
04. Sister All I Have Are My Arms
05. Here Comes the Miner
06. When I First Brought Him Home
07. Kelpie Blues
08. Don’t Marry the One You Love
09. A Mirror On the Earth
10. Prince Of Kites
 
 
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2014年09月15日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: Comments Closed 

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