Josephine Foster『A Wolf In Sheep’s Clothing』(Fire Records)
クラシック音楽、フォーク・ミュージック、ホワイト・ノイズの素晴らしい衝突
「羊の皮を被った狼」と題された本作品「A WOLF IN SHEEPS CLOTHING」は、2006年にLocustからリリースされていたもので、19世紀のドイツの著名な作曲家Franz Schubert、Robert Schumann、Johannes Brahms、Hugo Wolfによって書かれた古典的な作品をカバーしたもの。
ジョセフィン・フォスター初期の作品で、現在の作品よりも、演奏やアレンジに癖がありますが、ポロンポロンと爪弾くアコーステックギターとともに、ドイツ語で歌うJosephineの歌唱は、どんな国の言葉だってジョセフィン・フォスターとなり、まるで古いラジオから流れてくるような、彼女の優しくロマンチックな歌唱に惹きつけられ、その神秘的なまでの美しさにうっとりぼんやりしてしまう(特に”Wehmut”とか!)。
…と同時に並行して割り込んでくるアヴァンなディトーションサウンドの、轟くギターや、奇妙にねじ曲げられたようなボトルネックでのサウンドテクスチャーが、なんともタイトルを表しているようですが、この一見アンバランスなサウンドが引き合うことで生まれる、どこか浮世離れした佇まいも初期の彼女の魅力でもあったのが、今となっては懐かしいです。
ジョセフィン・フォスターを初めて聴くひとには正直、最初に聴く作品としてはおすすめできないけれど、クラシック音楽、フォーク・ミュージック、ホワイト・ノイズの素晴らしい衝突のなかで生まれた本作は、彼女の作品中、最も「芸術的」でもあります。新装アートワークのリマスターでの嬉しい再発。
01. An Die Musik
02. Der König In Thule
03. Verschwiehene Liebe
04. Die Schwestern
05. Wehmut
06. Auf Einer Burg
07. Nähe Des Geliebten
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Sheeprint「Wasted Times」〜いつまでも終わらないでほしい、夢の帳のサウンドトラック。 Cyril Secq / Orla Wren「Branches」〜奏でる哀愁と、非現実な空間を描き上げる美しくも儚げな調べ Stefano Guzzetti「Escape(music for a ballet)」〜懐かしさ、憂鬱と希望といった心模様を反映させたポストクラシカル作 David Cordero「El Rumor del Oleaje」(Home Normal) Rune Klakegg & Jan Olav Renvåg「Jazz På Norsk」軽やかな楽しさと、心地よい芳香