Melodía「Diario de viaje」〜2人の音楽家が旅路で奏でる穏やかで無垢な音たちの戯れ

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text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

 

Federico Durand(フェデリコ・デューランド)、Tomoyoshi Date(伊達伯欣)、それぞれ2014年は大活躍だった信頼できる2人による、コラボレーション・プロジェクトMelodiaのセカンド作が、昨年のクリスマスにhome normalからリリースされた。ジャケットの中で使われている写真は、ヨーロッパツアーの時に撮影されたものらしい。このツアー中にも2人のレコーディングは行われていた模様で(楽曲のタイトルにも街の名前が)、フェデリコさんが昨年、日本でツアーを行った際に行われた録音が加わり仕上げられている。そんな写真の雰囲気がそのまま音となったような、なんの装飾もないシンプルなんだけど、お互いの音に耳を澄ましあいながらじっくりと奏でられる2人の雰囲気が実によく伝わってくる。

Federico Durand and Tomoyoshi Date from Haïku Design on Vimeo.

以前行ったフェデリコさんのインタビューや、伊達さんとメールで少しやりとりした際にも、ラップトップを使わなくなったことを聞かされていたのもあったので、今回の作品の流れはある程度予想をしていたのですが、本当に、エフェクターの効果さえもあまり感じない、アコーステックギターやピアノを中心とした2人だけの音の戯れ、そして録音された場所の自然環境、椅子の軋みさえもそのまま取り込んだ、まさに2人による「Diario de viaje=旅日記」な作品となっています。

アコーステックであることや、穏やかな牧歌的な音の響きもあって、旅の旅情をメロディーにしたためた…という安易な紹介に陥ってしまいがちになるかもしれないが、決してそんな作品ではない。ただただポロンポロンとギターをつま弾き、ピアノを1音1音大事に弾く。そこにはなんの感傷もない。もちろんメランコリックな旋律が聞き手の琴線に触れる…というわけでもない。国も違う2人の音楽家が、異国の地でなんら気兼ねすることなく思い思いに奏でる音で、お互いの心模様をコミュニケーションしているかのよう。そんなコミュニケーションのプロセスの途中で、いくつかの響きが交わる時、なんとも言えない、夢み心地なふわふわっとしたものに包まれてゆく。

それがなんというか作品を聴く側にとってはとても無〜な心持ちでぼんやり聴き入ってしまえるのです。この作品では聞き手の経験に基づいた感情のシンクロというものは不思議と起きてこない。あくまで彼らの録音された音に触れると、自然と脳の感覚がゆる〜っとなるんだけど、なぜか音には集中して聴けてしまう。

穏やかで無垢な音たちの戯れが納められた、いつまでも浸っていたくなる作品それが「Diario de viaje=旅日記」です。なんだか彼らから旅のちょっとした土産話しをしていただいたかのような気分になれる…かな。

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■ アーティスト:Melodía
■ タイトル:Diario de viaje
■ フォーマット:CD
■ レーベル:home normal
■ 品番:homen065
■ ジャンル:アコーステック/エクスペリメンタル
■ リリース年:2014年

<収録曲>
01. Canción de los pájaros (en un bosque de Namêche)
02. La luz de la tarde (en Bruselas, Bélgica)
03. Un pequeño bote cargado de lirios (en un lugar indeterminado)
04. Un instante delicado (en un hotel en Metz, Francia)
05. Luna (en el hotel Am Bad, Tübingen)
06. Una aparición nocturna (sesión en el estudio de Tomoyoshi Date, Tokyo)
07. Canción de los pájaros II (en un bosque de Luxemburgo)

 

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