Hammock「Mysterium」(Hammock Music)

Hammock作品の中で最も美しく響く、悲しみの中から生まれたレクイエム
厳かな、でも清らかで何か心満たされるような、神聖なハーモニーで始まる、Hammockの最新作「Mysterium」。90年代後半に活動をしていたバンド、Common Childrenのメンバー、Andrew Thompson、Marc Byrdによってスタートした、Hammock。 Sigur Ros、Cocteau Twins、Ulrich Schnaussや、Helios、Eluviumなど、美しい幽玄サウンドを奏でるバンドが好きな人だったら間違いなくチェックして欲しいグループです。ポストロック、シューゲイザーを通過した、ギターサウンドを中心とした、幽玄的なフィードバックが持つ、淡いアンビエントな心地よさ、そして、よりメランコリックな旋律が琴線を煽りまくるストリングス、ドラム、そしてヴォーカルハーモニーが加わった、ドラマチックて感動的な展開が毎作ごとに聴き手を裏切りません。
本作「Mysterium」は、いわゆるドラムを使用した、バンドサウンド的アレンジがラストのみなので、近年Hammockサウンドに反映されている、ポストクラシカルな要素が濃い作品とも言えるもので、A Winged Victory For The Sullenに参加しているFrancesco Donadelloや、「Iris」のオーケストラに関わっている、Roman Vinuesaのトランスレーションによる、ブダペスト・アート合唱団、そして、ナッシュヴィルレコーディングオーケストラなど、これまで以上に専門性の高い面々が参加しています。
ただHammockの場合、オーケストラが加わったとしても、これまでの良さが消されることはなく、これまで以上にストリングスの響きにリアリティーがあり、より深くポストクラシカルの深遠さが、Hammockサウンドと結びつき、感動的な空間を築くことに成功している。だからこそ余計にラストのバンドサウンドでの”This Is Not Enough (Epilogue)”がぐっと込み上げてくるのかもしれません。この作品は、メンバーのMarc Byrdの息子のような存在だった友人に不幸があったことで、その悲しみの中から生まれたレクイエムとして制作された背景があるのですが、Hammockの作品の中で最も美しい作品と言えるものです。
<収録曲>
 01. Now and Not Yet
 02. Mysterium
 03. When the Body Breaks
 04. Things of Beauty Burn
 05. I Would Give My Breath Away
 06. Remember Our Bewildered Son
 07. Dust Swirling into Your Shape
 08. Numinous
 09. For My Sister
 10. Elegy
 11. This Is Not Enough (Epilogue)























