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Federico Durand『La Niña Junco』(12k)〜儚く深い思想が滲んだ響きは、大切なひとときの豊かさを、そっと教えてくれているよう。

2017年3月、2度目の来日ツアーも好評のうちに終了した、アルゼンチン人音響アーティストFederico Durand。幸運にもこのツアーの最終日を担当することができ、本当に幸せなひとときを過ごすことができたのですが、この時期は、ライヴもさることながら、日本人が関わった関連作品もリリースされていました。hofli(津田貴司)との「点対称の園丁へ ~ El jardín de la armonía」、Tomoyoshi Juliano Date による、アコースティック・アンビエントデュオMelodíaのセカンド作「Small Conversations」、日本のアンビエントシーンを牽引するchihei hatakeyamaとの「Sora」どれも本当良くってどれもぜひ耳にしてほしい作品なのですが、だけど来日中話してくれていた、spekkからの「Jardín de invierno」に続く、本人単独名義でのアルバムが、ようやく12kからリリースされました。これまでもミニマルな作曲スタイルながらも、彼の生み出す、日本のリスナーの琴線にも優しく通じる暖かな音は、気持ちがどんな時であれ、大切なひとときの豊かさを、そっと教えてくれているようでもある。ただただ身を委ねるだけでぎゅっと固まった緊張がホロホロとほぐれるような魔法のアンビエント。ここ数作ですっかり旋律すらも空気に溶け込み、輪郭も掴みづらくなったけれど、この最新作はこれまで以上に、染み入るようにフェデリコさんの細やかで朴訥とした優しさが伝わってくる。

これまでもこれからも、フェデリコさんのような、儚く深い思想が滲んだ響きを生み出す人はいないだろう。それは、彼のライヴを見てもはっきり確信する。ライヴを見た人なら知っていると思いますが、本当にびっくりするくらい機材が少ない。だけどいざライヴが始まるとものすごい集中力で、あの天上のサウンドを奏でてくる。その時の印象が、本作『La Niña Junco』を聴いた後にふと思い出した。案の定、レーベルのインフォには、イタリアの楽器メーカー、クルーマー(Crumar)のシンセサイザーと、2つのループペダル、そしてローランドのテープエコーの名機RE-201だけで生み出したのだという。あ〜またフェデリコさんに会いたいなぁ。

<収録曲>
01. La historia de la niña junco
02. Melodía de felpa
03. Navidad en el bosque
04. Rondel
05. Una plaza junto a las vías del tren
06. Ilu
07. El cascabel de plata
08. Melodía de felpa, continuación
09. Lluvia de estrellas

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