【インタビュー】アルゼンチンの若き音楽家、Ignacio Herbojo

000010Photo:Matheus Chiaratti

もう何度聴いただろう…。この公園喫茶でもディスクレビューで取り上げた、アルゼンチンのシンガーソングライター、Ignacio Herbojoのファーストアルバム「solo」。スペイン語がこんなにも美しい響きなんだと、思ってしまうくらい、彼の歌うメロディー。そして、あえてピアノの弾き語りを中心としたシンプルなアレンジ…の割に、フィールドレコーディングを折り込みながら情景を生み出したりと、サウンドプロダクションは手が込んでいるんですよね。多種多様な音楽ジャンルが混在する、ブエノスアイレスの音楽シーンにあって、ちょっと意外なほどポピュラーで、日本人の耳にも訴えるメロディーは、より今後注目せざるを得ない存在になってくるだろう…と、期待を込めながら、彼にインタビューしてみようと思ったら向こうから連絡してくれて(以前のこちらの記事を見てくれてたみたい)インタビューの運びとなりました。昔じゃ考えられないね、やっぱすごいよな~SNSって。…とその前に、まだIgnacio Herbojoの作品「solo」を聴いていない方は、ぜひ作品を聴いてみてから読んでみてくださいね~。

interview & text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

 

日本のリスナーに自己紹介をお願いします。

僕の名前はIgnacio Herbojo、24歳(2014年4月現在)です。アルゼンチンのシンガーソングライターでピアニストです。

幼少からピアノのレッスンは受けてきたんですか?

13か14歳の頃からピアノを習っていたんだ。どういう訳か正確な年齢は思い出せないんだけど、最初にやろうと思ったのは6歳か7歳の時だったと思う。母親がクリスマスプレゼントに僕と兄弟に2オクターブのカシオのおもちゃのキーボードをくれだんた。それで、そのキーボードに興味を持って遊んでたのは僕だけだったんだ。

僕らのベビーシッターは音楽が好きで、Leonaldo Favio(注: 1960年代から70年代にかけてのアルゼンチンを代表する映画監督・歌手。Fuiste mia un verano, また Ella ya me olvido などのバラードが有名とか。2012年永眠 享年74歳)やPimpinela(注:アルゼンチン生まれの兄妹デュオ)、Yuriとか、彼女は一日中そういうアーティストのカセットを聞かせてくれて、そのメロディーをいくつか僕に教えてくれた。その時、僕は楽器に完全に魅了されたんだけどね。でも後にそれが自分の一つの部分を占めることになっていったのは間違いないよ。

スペイン語で歌っているにもかかわらず、あなたのメロディーは、あまり土着的なものを感じません。むしろユニバーサルな響きを感じます。ミュージシャンとして影響を受けたアーティストを教えて頂けますか?

僕は家族のレコードやカセット、後にCDを聴いて育ったんだ。それらはMercedes Sosa, Atahualpa Yupanqui, María Elena Walsh, Alberto Merlo, Eduardo Falúみたいな、ほんとにアルゼンチンのフォルクローレで。でも家族が一緒の時に歌ったり音楽を演奏したりするのは普通のことだったんだ。

その後、自分が成長してあらゆる種類の音楽を聴くことになるんだけど、クラシック音楽を勉強したりしたのもその一つだよね。それは自分自身、大きく影響を受けたことのひとつでもあるわけだけど、でもたとえどんなスタイルであっても、僕はいつも音楽が流れている家で育ったし、それらに親しみ影響を受けてきたんだ。僕は自分自身をある箱や形に入れ込もうとしないよ。それがポップだと思うんだよ、僕は人々のために音楽を作っているからね。

最初に曲を書き始めたのはいつ頃?

13歳の時にたくさんの詩を書き始めて、それは今日も続いてる。僕は自分自身を詩の中で簡単に表現できるんだ。ことばや書くことが大好きなんだ。歌やその詩のフォームから出てきたものだと思う。

「solo」の作品テーマがあれば教えてください。

このアルバムを「Solo」と名付けたのは、ほとんど全ての歌を一人で家にいる時に作ったからなんだ。母や兄弟を待っている時に家で曲を作り始めた。じつのところ僕はその曲を彼らに聴かせたくなかったんだよ、だって自分はほんとに恥ずかしがり屋だから。でも僕は自作曲を親しい友達に聴いてもらってから、その後、みんなに聴いてもらえるようになったんだ。

Soloと名付けたのはもう一つ理由があって、それは自分一人で自分のスタジオで録音したからなんだ。たった一人だけ、アルバムに入ってるのはマスタリングをしたJuan Stewartだけだよ。

「Solo」はあなたの歌、そしてピアノが中心となるような、繊細で美しいアレンジが個人的にすごく気に入っているのですが、制作段階からこのスタイルで決めていたのですか?

僕はSoloをレコーディングする前にそれが声とピアノを中心に構成される作品にするべきだと思ったんだ。その時ぼくはSybille Baierの「Color Green」とTracey Thornの「A Distant Shore」をよく聴いていてね、そこから影響を受けているかもしれない。ただ僕はこの作品で、自分の声とピアノだけは、誰の後ろ(注:おそらく様々な楽器やアレンジなどだと思います)にも隠れたいとは思わなかったんだ。ソロは自己の充足と自由についての声明文のようなものなんだ。

クレジットをみると、Juan Stewart、そしてEstudio El Arbolの記述があります。Estudio El Arbolはブエノスアイレスのインディペンデント・シーンでも、重要な場所の一つと思いますし、Estudio El Arbolについて教えて頂きたいのと、Juan Stewartは「Solo」で、どのように関わってくれましたか?

Estudio El ÁrbolはJuan Stewartがオーナーのレコーディングスタジオだよ。そこは魔法のような場所で、Juanは天才なんだ。僕はそこでSoloを録音したわけではないけれど、Juanはそこでマスタリングの部分を担当していた。僕は彼の作品に本当に感嘆していたし、僕らはすでにお互いを知っていたから、彼がレコードの音を素晴らしいものにしてくれるって確信していたんだ!僕は彼に素敵なアルバムにしてもらいたいのはもちろんだけど、でも本当に家で作った感じがある音を作ってほしいと思っていて、その結果、彼は素晴らしい仕事をしてくれたと思うよ。

ブエノスアイレスってどんな街ですか?現在の音楽シーンの状況、そしてアルゼンチンのお薦めレーベル、アーティストを教えてください。

僕はブエノスアイレスが大好きなんだ。僕は郊外に済んでいて、本当にここは素晴らしいよ。たくさんの木々があって、静かな地域なんだ。僕の家にはオレンジの木があって、その前にはラベンダーの茂みがあって、この辺はライムの木々で満ちていて、春になると全てが活気づいて夜にはその香りで満たされるんだ、本当に素晴らしいよ!

僕は毎日仕事に行くのに電車を使って首都に行かないといけないんだ。でも電車で旅行するのが大好きなんだよ。いつも仕事に行く時は本を読んで、それらから影響を受けたり、詩を書いたりしてる。僕は携帯に自分の詩をたくさん書いてるんだ、本当に簡単だし、すぐに書けるからね。それで家に帰ってからそれを歌の形に当てはめてみる、それが僕の作曲のやり方になってるね。

僕はどこのレーベルとも契約していないけど、Estamos Felices, Peatón, Laptra, Geiser, Yoconvoz, etc.は好きなレーベルだよ。

Paula Trama, Luciana Tagliapietra, Sobrenadar, Antolín, Rosario Bléfari, Daniel Melero, Aldo Benitezとか色々たくさん聞いてるよ。みんな素晴らしいんだ!

日本について知っていることってあります?

僕は本当に日本の大ファンなんだよ!本当に少ししか知らないけれど、日本の文化が大好きなんだ。僕はいつか日本に旅行したいってほんとに思ってる。僕が知っている全てはテレビやアニメ、本、映画、そしてインターネットからだよ。何人かの作家を知ってる、ミシマや吉本ばなな、あと川島小鳥の写真が大好きなんだ、彼は天才だね。僕は彼の「未来ちゃん」ていう作品が好きだな。すごく詩的だし、センチメンタルな気持ちでいっぱいなんだ。

僕はオルゴールを持っているんだけど、それは僕の父親が日本に行った時に僕の姉妹に買ってくれたものなんだよ。僕たちが小さい子供だった。それは美しいオルゴールで、サクラの民謡が鳴るんだよ。それを開けて、その歌を聴くことをやめられなかったのを覚えてる。それはほんとに忘れられないね。

次の作品のことは考えていますか?またどんな作品になりそうですか?

僕の今の計画はできる限り音楽を演奏して、僕の音楽を人々と共有することだね。それと近い将来バンドもしたいと思ってる。僕のピアノと声だけじゃなくてね。「Santo y Señal」のミュージックビデオがあって、僕の兄弟の Juan Herbojoが作っていて、SUPER 8で撮ってるんだ。でもここでは秘密にしておくね。

また、僕はもうたくさんの新曲に取り組んでいるよ。僕はいつも詩を書いて曲を作ってるんだ。いつも動いて探し続けることは自分にとってもとても重要なんだよ。もしかしたらそれは何人かの友達を家に呼ぶ時だってね。

さてインタビュー後、Ignacioさんから「Santo y Señal」のミュージックビデオが完成したとの連絡が入りました!

 

2014-04-08 | Posted in インタビューComments Closed 

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