Cicada/シカーダ〜海を知るということは、自分たちの起源を辿る方法なのかもしれないのです。

Words by Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

 

Cicada/シカーダの音楽を聴いていると、いつも心の風景の中で、心地よい海風を感じている気分にさせてくれる。

瑞々しいピアノの音色は、心の原風景を求め、ヴァイオリンのピッツィカートは水鳥のささやきのように、チェロやギターは、全てをおおらかに包み込む大海原のように、それぞれのメンバーが自由に、深く豊かな海に感謝の気持ちを、奏でるメロディー。グループの中心人物でもあり、ピアノを担当する、Jesy Chiangは、わたしのそんな感想について、次のように答えてくれています。「私はこれまで、自然からインスパイアされ、音楽を作ってきました。近年は、特に海から影響を受けています。日本のflauからリリースされた”Ocean”という作品は、私たちが、スキューバダイビングを始めてからの、海への魅力を集めた作品なのです。」

台湾の5人組室内楽集団Cicadaが、2016年以来、最新作『White Forest』のリリースを記念して、再び日本の地で、演奏を披露してくれることになった(この記事を書いている時点で初日前日という…なんだかすみません)。アイスランドの作曲家で、ポストクラシカルシーンを代表する音楽家、Olafur Arnaldsのライヴのオープニングアクト務め、台湾では大規模のホールが満席になるなど、既に台湾ではメジャーレベルの人気が定着している。欧米のモダン・クラシカルとは違った、日本人の琴線にも触れる、5人編成でのナチュラルな美しさを持つ独創的なアンサンブルは、ぜひライヴで感じ取って頂きたいものです。

Cicadaは、2009年の秋、作曲とピアノを担当する江致潔(Jesy Chiang)を中心に、ヴァイオリン、チェロ、アコーステックギターの5名によってスタートし、現在は、Jesy Chiangの他、Hsu Kang Kai(ヴァイオリン)、Eunice Chung(ヴィオラ)、Yang Ting Chen(チェロ)、Hsieh Wei Lun(ギター)というメンバー構成。

今回、Jesy Chiangにいくつかの質問を行うことができました「Cicadaを始めた時は、これが短期間のプロジェクトだと考えていました。」と、およそ10年近くを迎えるグループが、ここまで長く続くとは思っていなかったそう。思い描いていたグループの方向性についても、ものすごくシンプルで「Cicadaの方向性については、ゆっくりと定まっていきましたが、グループ内での各パートの楽器については、私が好きな楽器だということ、そして友人が演奏できるということ、で段階的に構成が決まっていきました。」
 

「私たちは人間と動物の関係、そして彼らの生息地への影響について、作品を通じて議論しようとしました」

 
個人的に、彼らの音楽に触れるきっかけとなったのは、東京のflauより、『Ocean』がリリースされたことがきっかけでした。日本のflauからリリースの話があった時のことについては「ワクワクしました! 私たちはflauと彼らのリリースのビジュアルとデザインが本当に好きだったので。」その後、『farewell』『White Forest』と(いずれの作品もflauよりリリースされています)、順調に作品をリリースしている。「”Farewell”のテーマは…そうですね…感情と関係に焦点を当てた、別れについてです。」「”White Forest”は、動物 – イルカとクジラをテーマにした作品です。私たちは人間と動物の関係、そして彼らの生息地への影響について、作品を通じて議論しようとしました。」

近年、Cicadaの作品には、台湾の豊かな自然の持つ美しさ、とりわけ、『Ocean』や、続編的内容の『White Forest』など、海をテーマにした作品が続いているが、実際、彼ら自身、たくさんの影響を、海から受けているという「台湾は海に囲まれた小さな島ですが、私たちの日常生活のほとんどは、海から遠い都市で起こります。それらによって、海洋環境や、海の生き物への影響についても、私たちがもっと海を知ることが、自分たちの起源まで追跡する方法かもしれないと考えています。動物や環境の観点から音楽を書くことは、まだまだ自分には難しいことですが、その反面、とても興味深いことでもあるのです。」

『White Forest』では、クジラ、イルカ、サンゴ礁、ウミガメ、都市の猫、山々の鳥などの動物に捧げられていて、人の影響によって生じる、海洋や動物との関わりを、Cicadaの豊かなメロディーとともに届けてくれている「このアルバムで書きたいと思っていたすべての動物に会う、というチャレンジがありました。ザトウクジラのために座間味島に行き、2回のボート予約を取り消した後、ついに彼らを見ることができました。また、マンタのために石垣島でスキューバダイビングを行いましたが、残念ながら、台風のため会うことができず、マンタの曲を断念しなければならなかったのです…。」

さて、現在のCicadaのメンバーを、彼女自身、どのように見ているのだろうか?簡単に紹介してもらった。「Hsu Kang Kaiは、ハシナガイルカのように頭がキレる、快活なひと、Eunice Chungは、ハナゴンドウのように穏やかね。Yang Ting Chenは、ポメラニアンの子犬のようにかわいい、正確なテンポを持っているわ。Hsieh Wei Lun、彼は常に私たちを明るくする日差しのように、みんなの歩調を合わせる方法を見つけることができるひと。」彼らのパーソナリティーとグループ間の親密度が伝わってくるようでもある。作曲のプロセスについては「初めに私が、ピアノと弦楽器のために楽譜を書きます。他のメンバーは私が書いたスコアに従って修正をしたり、追加したり、といったフィードバックをくれます。でも曲が完成するまでに多くの試行が必要です。ギタリストのHsieh Wei Lunが作曲した時は、まず私がフィードバックを与えながら進めていきます。」
 

「音楽を通してさまざまな角度からストーリーを伝えることが私にとって非常に重要」

 
Cicadaの音楽が、なぜ多くのモダンクラシカルな音楽とは一線を画しているのか?「私自身は、若い頃からバンドやインディーといわれる音楽のファンでした、古典的な楽器を使って音楽を作っていても、自分の作る音楽が過去のそういった音楽体験からの影響があるんだと思います。」ちなみに、日本のアーティストでは、坂本龍一と高木正勝が好きとのこと。そう言われてみると、ピアノを始め各楽器のアレンジにも、日本人にも通じる感受性豊かな表現が印象に残る「音楽を通してさまざまな角度からストーリーを伝えることが私にとって非常に重要なのです。」

最後に今後の予定や取り組んでいることを聞いてみた「山と森のために曲を作りたいと思っています。私は最近ハイキングや登山を学んでいるのです。」

 

Cicada Japan Tour 2018

台湾の室内楽集団Cicadaが海と地上の生物への美しい叙事詩『White Forest』のリリースを記念して再来日。欧米のモダン・クラシカルとは異なる進化を遂げた5人編成による独創的なアンサンブルを聴かせます。

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4/12 福岡・papparayray
4/13 北九州・小倉城庭園
4/14 東京・ VACANT
4/15 大阪・天満教会

2018-04-12 | Posted in インタビューComments Closed 

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