Tambour「Chapitres」〜ピアノとストリングスが美しく調和し、ミニマルに舞いながら、甘く切ないストーリーを紡いでゆく…。

text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

「レコードショップに出向き、レコードを手にする面白さや音楽の楽しさを共有する」という目的でスタートした、毎年4月に世界同時開催されるレコードの祭典、レコード・ストア・デイ(Record Store Day)。

今年も様々なレーベル、音楽家がこの時期に合わせ限定作品をリリースされているわけですが、モダンクラシカル作品をリリースしている、カナダはモントリオールのレーベル、Moderna Recordsからリリースされた、Simon Piché-Castonguayのプロジェクト、Tambourの作品「Chapitres」がアナログ盤でリリースされました。この「Chapitres」は、これまでの、「Chapitre I」(2015年)「Chapitre II」(2016年)から3曲づつセレクトされた(といってもそれぞれの作品は4曲づつのミニアルバムだからそれぞれ1曲アナログでの収録の都合上漏れただけか?)楽曲で構成されたものです。

Simon Piché-Castonguayは、Moderna Recordsでも、レーベルのアシスタント/マネージャーを担っており、レーベルのコンセプトを体現している存在とも言えます。Marie-Pier Meilleurによるアートワークは、これまでのレーベルイメージからより、Tambourの音楽が持つ、メランコリアとぬくもりが通った、シネマティックなメロディー、そして気品ある佇まいを表しているようで、これまで配信のみだったのですが、こうやって、2つのEP作品を一つの形にすることで、改めてTambourの音楽を手元に置いておきたいと思わせる逸品へと価値を引き上げたものとなっています。

フラジャイルなピアノと、ヴァイオリン、チェロのストリングス、そして時にフレンチホルンが美しく調和し、甘く切ないストーリーを紡ぎながら淡い感動を包み込む、Tambourのモダンクラシカルは、ダスティン・オハロラン、ハウシュカ、マックス・リヒター、ヨハン・ヨハンソンなどが好きな方には、是非とも知っていただきたい存在です。

 

2017年05月06日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: , , , , Comments Closed 

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