津田貴司「湿度計」~益子の日常と幸福な調和が生み出すサウンドスケープ

interview & text : Kenji Terada (PASTEL RECORDS)

津田貴司さんとは、この「公園喫茶」を立ち上げる前年から、インタビューだったりイベント開催だったり、お互いやり取りさせていただいているわけなんですが、そんな過程の中で、津田さんの人柄とか演奏とか話し方とか考え方とか…なんというか「あ~この人信用できるわ~」ってなっちゃって、とにかく今では、津田さんのリリースするものは無条件にOKとなってしまっている。割と年も近いせいもあって彼のフェイスブックなどで発信している一言一言も、頷けるものが多い。私にとっても津田さんのような音楽家が居てくれてとてもうれしいのです。そしてここ最近の作品も以前に比べるとどんどん、ストイックさという言葉とはまた違うんだけど、自分の進む道を切り開いてゆく強さみたいなものの佇まいが、hofliの「雑木林と流星群」「LOST AND FOUND」そして最近スタートさせたスティルライフの音楽、またワークショップから穏やかに伝わってくる。

現在は、スティルライフの作品に取り掛かっているところだと思いますが、その前に、津田貴司名義で、2008年に、STARNET MUZIKからリリースされていた「湿度計」が、自身の手で、アートワーク/パッケージも一新し、リイシューされました。

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「湿度計」は、2007年夏、STARNET RECODEで展示された音のインスタレーション「湿度計」として発表したものを再構成し、さらに益子でフィールドレコーディングした音の風景をコラージュしたものです。(TAKASHI TSUDA/hofli WEB SITEより引用)

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ここでは、早朝、午前、白昼、夕方、夜と異なった時間の、まるで益子の風土から生まれたかのような豊かで清らかなサウンドスケープが収録されている。水の音、鳥や蛙、虫の鳴き声、それらと共存する、津田さんが生み出す涼やかで、柔らかなサウンド。それらは実にシンプルに響くものなんだけど、朝と昼、夜の音の伝わり方、距離感が、曲名がなくランダムに聴いたとしても、いつぐらいの時間帯なのかがおおよそ伝わってくる。

津田さんが奏でる大気のようなサウンドの美しさとともに、益子の穏やかな1日が収録されたこの作品は、益子や、スターネットが、津田さんに与えたものの大切な水源として、いつまでも色褪せることなく聴く者をきっと心穏やかにしてくれることでしょう。

■ アーティスト:津田貴司
■ タイトル:湿度計
■ フォーマット:CD
■ レーベル:PNdB atelier
■ 品番:hoflicd12
■ ジャンル:アンビエント/エクスペリメンタル
■ リリース年:2014年

<収録曲>

01. 朝の水
02. 畦道にて
03. 湿度計
04. 蒼
05. 夜の水
 

 

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2014年06月09日 | Posted in 音楽レビュー | タグ: , , , , Comments Closed 

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